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【福島子ども支援NPO助成】障がいのある子どもの社会的自立と家族の交流をサポート

特定非営利活動法人 ふよう土2100

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支援期間 2015年1月1日~12月31日
事業地域 福島県郡山市
助成金額 639万円
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福島第一原発事故の影響で避難を強いられた人の中でも、特に厳しい状況に置かれたのが障がいのある子どもとその家族です。他市町村から約9,000人が避難した福島県郡山市では障がいのある子どものデイサービス施設が不足し、「預けたくとも預けられない」状況が続いたとか。そこで「(特活)ふよう土2100」は、理事長の里見喜生さんと、自身も障がいのある子どもの親である大澤康泰さんが中心となり2012年5月、子どもの一時預かりを行う「交流サロンひかり(以下、「ひかり」)」を開設。障がいのある子どもの居場所づくりに注力してきました。
その実績が評価され、2015年1月には福島県の指定を受けて放課後等デイサービス 「がっこ」を新設。助成を活用してスタッフ研修や施設整備を行ったことで順調なスタートを切り、「ひかり」も多様なニーズに応えて活動を継続しています。
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苦手を克服し、良いところを伸ばす
「がっこ」は、養護学校や特別支援学級に通う小・中・高校生を放課後と学校の長期休み中に預かり、社会的な自立をサポートします。大澤さんいわく「開設してすぐ親からの問い合わせが相次ぎ、必要性の高さを実感しました。現在、約20人の登録があり、多くは「ひかり」を利用していた子どもと、小学校の新1年生。自閉症・アスペルガーなどの知的障がい・発達障がいのある個性豊かな子どもたちです」。
約80平米の屋内には運動器具を備えた「訓練室」、学校の宿題などに取り組む「学習室」、遊びや集いの場「デイルーム」があり、時にはみんなでおやつをつくって食べるなど家庭的な雰囲気。1日のスケジュールは、自由遊び⇒読み聞かせ⇒おやつ・宿題・掃除など班ごとの活動⇒集団遊びという流れですが、「学校で精一杯頑張って疲れている子どももいるので無理強いはしません」(大澤さん)。楽しく過ごす中で苦手なことを少しずつ克服し、長所を伸ばして子どもの自尊心を育むことが一番の目的だと強調します。
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(事務所にて、子どもたちの作品を手にする理事長の里見喜生さん(右)、事務局長の大澤康泰さん(右から2番目)とスタッフ。)

研修を通して、環境づくりの大切さを再認識
「がっこ」の開設に向けて実施したスタッフ研修では、福島・宮城・東京で先進的な取り組みをしている団体やデイサービス施設を視察しました。里見さんによると、「運営のノウハウを一から教わりましたし、子どもの特性に応じたサポートの実践法を学べたのが大きな収穫でした」。例えば、「じっとしているのが苦手な子どもも落ち着いて座っていられるよう背丈に合わせた椅子を用意する」、「意思疎通が難しい子どもと絵カードを使ってコミュニケ―ションを取る」といった工夫を目にし、子どもに合わせた環境づくりや教材選びの大切さを再認識したとか。
また大澤さんいわく、「子どもができないからといって諦めず、根気よくサポートすることが大切との思いも強くしました」。研修先で受けたアドバイスをスタッフに伝え、情報共有や話し合いをすることで全員のモチベーションが高まったと言います。

創作活動や野外体験も重視
研修での学びを生かしつつ、「がっこ」では独自の取り組みとして創作活動にも力を入れています。遊びの一環として「ハート」「葉っぱ」といったテーマで子どもたちに自由に絵を描いてもらい、年1回、市内のギャラリーで展示会も開催します。訪れた人から褒められることも多く、「子どもの自信や将来の生きがいづくりにつながってくれたら」と、大澤さん。
また屋外での活動を重視しているのも特長で、日常的に公園に遊びに行く他、学校の長期休み中にはみんなで買い物や食事に出かけることも。里見さんいわく、「子どもが大きな声を出してしまうからと外出を制限する親もいますが、社会生活の体験や、新しい人やものに接することは子どもにとって大きなプラスになります」。スタッフに見守られながら新しいチャレンジをする中で子どもたちは日々成長しており、親から「人との関わりが苦手だった子どもが集団で遊べるようになった」「集中して一つのことに取り組めるようになった」といった喜びの声も聞かれるそうです。
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(「がっこ」でスタッフとともにのびのびと遊ぶ子どもたち。遊びの一環として創作活動や絵本の読み聞かせを行うことも。)

公的サービスの枠を超え多様なニーズに応える
一方、「ひかり」では公的な障がい福祉の枠内では行いにくい多様なサービスを提供しています。活動の柱の一つは相談事業で、電話やメールで寄せられる相談も含め年間約500件に対応。スタッフが必要な情報を提供し、学校や行政とも連携して問題の解決に当たります。また親同士が本音で話せる場として月1回程度、「ママカフェ」も開催。「当事者にしか分からない悩みを打ち明けられて心が軽くなり、子どもの接し方のヒントも見つかった」など、好評を博しています。
そしてもう一つの活動の柱は家族同士の交流サポート。くだもの狩り・音楽会・クリスマス会など多様なイベントを毎月開催し、避難生活を送る親子も孤立することなく、スタッフや新しい仲間と心を通わせながらリフレッシュできるよう図っています。
さらに2015年からは不登校や学業不振に悩む子どもの学習支援もスタート。地域のニーズを汲み取り、迅速に対応するフットワークの軽さが同団体の特長であり、市民団体ならではの強みとも言えます。
最後に、団体の今後について里見さんは「子どもたちが学校を卒業した後、生きがいを持って働ける就労支援施設を2016年度に立ち上げることが当面の目標。障がいの有無にかかわらず、誰もが幸せに暮らせる社会を実現させるため、長期的な活動を目指します」と、強い決意を語ってくれました。
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(子どもたちが多様な体験をし、家族同士も交流を深められるようにと、くだもの狩りなど野外でのイベントも度々実施。)

【団体概要】--------------------------------------------------------
設立年:2011年8月 
代表者名:理事長 里見喜生スタッフ数:8人
事業内容(本助成事業以外):
・郡山市の指定を受けた相談支援事務所の運営
・被災地でのスタディツアーコーディネート事業
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■助成団体の活動意義
郡山市は、震災前から障がいのある子どもを預かる児童デイサービス事業所の絶対数が少なく、震災により沿岸部からの避難で子どもが増えても新たな受入れが出来ない状況にありました。そのような状況のなか、自らも障がいのある子どもの親である事務局長を中心として、障がいのある子どもの交流サロンを運営し、親も子どもも安心して過ごせる居場所を提供してきたのがこの団体です。地域における支援の新たな担い手として期待されています。

■助成金の使途
助成金は、障がいのある子どもや親の相談にあたるスタッフの人件費や放課後等デイサービス開設にあたっての研修費用に充てられました。また、助成金を活用して、子どもが過ごしやすいようエアコンなどの設備を揃えるとともに、放課後等デイサービスに通う子どもの送迎用の車両を購入しました。

■助成前・後での変化
助成によって施設改修や車両購入のための費用が賄えたことにより、放課後等デイサービス事業所立ち上げにあたってのリスクが軽減され、事業所開設が滞りなく行われ、支援を受けられる子どもが増えました。また助成金により、専用の送迎車が配備できたため、家庭に負担をかけずに子どもたちが通えるようになりました。