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【福島子ども支援NPO助成】親子一緒に、みんなの笑顔があふれる場所をつくりたい

特定非営利活動法人 子育て支援コミュニティプチママン

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支援期間 2015年1月1日~12月31日
事業地域 福島県郡山市
助成金額 394万円
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東日本大震災後しばらくの間、福島県郡山市では福島第一原発事故の影響を受けて、子どもの屋外活動時間を制限していました。特に小さな子どもを持つ母親は、市外へ一時避難をしたり、子どもとの外出を控えたりする時期が続いたといいます。
郡山市で10年前から子育て支援を行う「(特活)子育て支援コミュニティプチママン」では、無料の子育てひろばを開放していますが、やはり震災後1年ほどは利用者数が減っていたそうです。その代わりスタッフが遊具をもって避難所をまわり、母親同士で集まって話せる場をつくる活動をしていました。震災から4年以上が経ち、いまは月150~200組もの親子がひろばを利用。再びにぎやかな声が戻っています。

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ほっと安心できる、家庭的な雰囲気
プチママンは、郡山市内で育児サークル活動をしていた母親たちが集まって、地域で子育て支援をしていきたいと2005年に設立された団体です。栄養士、保育士、ピアノ講師、教員経験者など、さまざまな資格や経験を持った人たちがスタッフとして参加しています。
施設は子育てひろばとして無料開放されていて、誰でも気軽に利用することができます。
「抱っこしていてあげるから、お母さんもごはん食べてね」「そこに寝かせておいて大丈夫よ」と、利用する母親に温かい声をかけるのは、設立当初からのスタッフでもある、理事長の佐藤広美さん。
「うちにはいろいろな年代のスタッフがいるし、家庭的なんでしょうね。若いスタッフは同じ立場で共感できるし、子育てがひと段落した私のような世代のスタッフには、経験者だからできる助言があります」。
栄養士の資格を持つ佐藤さんは、みんなの先頭に立って一緒にランチを作ることもあります。ここでみんなと一緒に食べる時間を楽しみに来る親子も多いそうです。また、ママヨガ、骨盤体操、アロマ講座など、託児付きのカルチャー講座も、大事な気分転換の機会になっています。

園芸教室で、葉っぱや土に触れる機会を
プチママンでは、今回の助成を活用して、古い和室だった2階をフローリングに改修。衛生面・安全面が向上し、親子または子ども向けのカルチャー講座が2階でも開けるようになり、活動の量も幅も広がりました。同じく改修したバルコニーでは、園芸教室を開催。子どもたちがプランターで野菜を栽培し、収穫を楽しんでいます。

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(助成金を活用して改修した2階のフローリングスペースでは、母親向けのカルチャー講座や親子で参加できるイベントを開催。)

「しばらくは外遊びを控えていましたが、お母さんたちからの要望もあり、放射線量を確認したうえで少しずつ外遊びを始めています。園芸教室は、葉っぱや土に触れる貴重な機会。野菜を育てる経験もなかなか出来ないですよね」と話すのはスタッフの松尾祐子さん。
松尾さんは精神保健福祉士の資格をもち、週2回の平日午後と土曜日の午前中に、2階を利用して発達に不安を抱える子どものための教室も開いています。
「発達障がいのある子どもを預かる“放課後デイサービス”は増えてきましたが、療育が受けられるのはほとんどが病院。しかも、キャンセル待ちになるくらい数が足りていません。だから、このプチママンを立ち上げるときには、お母さんたちも気軽に相談できるような教室をつくりたいと思ったんです」。

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(改修した広いバルコニーでは、園芸教室としてプランターを並べて、野菜を栽培。イベントスペースとして利用することも。)

子どもも母親も通いたくなる場所
現在、発達教室には、3歳から高校2年生までの24名が通っています。長く通い続けている子どもも少なくありません。松尾さんは、それぞれの子どもの状況にあわせて、学習支援やソーシャルスキル訓練などの個別プログラムをつくります。また、言語聴覚士など専門家を招き母親対象の勉強会も開催しています。
「急に大きな声を出したり、学校で他の子どもとトラブルになったりして、外で肩身が狭い思いをしているというお母さんも多くいます。だからここでは、みんなを受け入れて、子どもにとっても、お母さんにとっても来やすい場所でありたいと思っています」。
さらに、「生活体験会」として、みんなでごはんを食べたり、服をたたんだりなどの生活訓練も行っています。発達障がいのために、震災のときに避難所でパニックを起こしてしまった子どももいました。松尾さんは、もし今後災害などがあったときには、プチママンが避難場所になれるかもしれないと考えています。
「ここを卒業して社会に出たときに困らないためにも、他人と生活することに慣れておくことは大切です。また、ここは、同じ悩みを持つお母さん同士が相談しあえる場でもあります。先輩お母さんが、『うちの子のときはこうだったよ』とアドバイスをしてくれることもあるんですよ」と松尾さん。スタッフからのサポートだけでなく、利用者である母親同士で支え合う関係が生まれているのです。
プチママンは、母親がいつでも気軽に立ち寄ることができて、子どもがのびのびと遊べる場をつくることを目的にしながら、スタッフそれぞれの経験を生かして活動の幅を広げてきました。「でもやっぱり、プチママンのいちばんの魅力は、アットホームな雰囲気ですよね」と話すのは、2年前から事務局スタッフとして参加している蓮沼晃代さん。
「親子一緒に笑顔があふれる場を創り出す」という理念を大切にして、これからも地域で母親に寄り添った支援を続けていきたいと話してくれました。

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(2階スペースでの発達教室の様子。プチママンでは、子ども一人ひとりの状況を見ながら、個別のケアプログラムを立てている。)

【団体概要】--------------------------------------------------------
設立年:2005年
代表者名:佐藤 広美  スタッフ数:7人
事業内容(本助成事業以外):
・子育てひろばの運営
・子育てサークル出張支援
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■助成団体の活動意義
2005年の団体設立から、児童館や子育て支援センターが少なかった郡山市において、活発に活動する地域の育児サークルを支え、親子の居場所づくりを続けてきた「子育て支援コミュニティプチママン」。スタッフには保育士、栄養士、精神保健福祉士など有資格者が多く、親子のニーズに沿った支援、特に発達に不安のある子どもへの専門的な支援を行っていることが評価され、今回の助成が決まりました。

■助成金の使途
助成金を活用して、古く使いづらかった2階の和室やバルコニーの改修を行いました。また、発達教室を担当する作業療法士や言語療法士の招へいや、スタッフがひとりひとりの子どもの状況にあった質の高い支援を行えるよう専門性を高める研修への参加にも助成金が充てられています。

■助成前・後での変化
ひろば内を改修したことにより、実施できるプログラムの幅が広がるとともに、発達教室も集中して行える環境が整いました。バルコニーを修理したことで、子どもでも安全に使えるようになり、放射線の心配なく安心して土に触れる体験ができるプログラムを開始することができました。また発達教室の継続実施、および助成金を活用したスタッフ研修や専門家による指導によって、より多くの子どもが専門的なケアを受けられるようになり、地域の支援拠点として発展していくことが期待されています。