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【福島子ども支援NPO助成】子どもの主体性をはぐくむ「げんKIDS」プロジェクト

特定非営利活動法人 ココネット・マム

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支援期間 2015年1月1日~12月31日
事業地域 福島県郡山市
助成金額 319万円
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福島県郡山市で2003年に設立された「(特活)ココネット・マム」は、地域のより良い子育て環境づくりを目指し、放課後児童クラブ(以下、学童保育)や子どもの一時預かりなど様々な子育てサポートを行っています。東日本大震災後、ココネット・マムのスタッフは自身も被災しながら、仮設住宅集会所での子育て広場の実施、避難してきた子どもたちの心のケアなど、避難者支援も行ってきました。こうした経験をしながら、子どもたちがのびのびと過ごし、また主体性を持って様々な体験をできる居場所づくりを目指して活動を続けてきました。2014年には「フクシマ ススム プロジェクト 子どもの場所づくり支援」の支援を受けて、常設の学童保育室「キッズルーム」(同市大島地区)を開設。そして2015年より、「げんKIDS(キッズ)」プロジェクトをスタートしました。
「げんKIDS」プロジェクトは、は学童保育の一環として、子どもがやりたいことを実現できるようサポートし、子ども自身の力を引き出すことを目指す取り組みです。8月には子どもが模擬店の店長を務める「げんKIDSまつり」を、秋以降は「げんKIDSカフェ」を2回開催し、いずれも好評を博しました。
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子どもたちの将来につながる体験を
代表理事の首藤亜希子さんをはじめ、同団体を立ち上げたのは郡山市内に住む母親たち。「行政の枠に縛られることなく、親子の多様なニーズに応えたい」との思いから非営利団体として法人化し、「キッズルーム」では平日の夕方以降の延長保育や土日・長期休暇中の預かり、学校や習い事先への送迎など独自のサービスも行っています。
そして「単に子どもを預かるだけでなく、将来につながる体験をさせてあげたい」と、「げんKIDS」の取り組みに着手。「キッズルーム」に通う子どもを中心に、市内の小学生約20名の参加を募り、前期(5月~7月)、後期(10月~12月)と分けて各3カ月間の週2回、お菓子教室・おもちゃづくり・アート制作など子どもの希望に沿った様々な活動を行いました。首藤さんいわく「両親とも忙しく、子どもがやりたいことがあっても言い出せないケースもある。『こんなことをしたい』と自由に発言できる場をつくり、それが実現できる手助けをしたいと思ったんです」。
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(代表理事の首藤亜希子さん(右端)と「げんKIDS」の運営を担当する池上久美子さん(右から3人目)らスタッフの皆さん。)

子どもが力を合わせてイベントを企画
「初めは、自分が何をしたいのか積極的に発言しない子どももいたので辛抱強く待ちました」と話すのはスタッフの池上久美子さん。突拍子もない意見にも耳を傾け、子どもが自由に話せる雰囲気づくりに努めるうちに、前期の発表会「げんKIDSまつり」では「カフェ」「小物屋さん」「ヨーヨーや輪投げなどが楽しめる子ども縁日」を開こうと全員一致で決まったとか。そしていったん企画が決まると子どもは持ち前の創造力や行動力を発揮。「カフェでは手作りのお菓子を出そう。メニューや看板も作らなくちゃ」「アクセサリーを作って小物屋さんで販売したい」などのアイデアが出され、子どもが主体となって準備を進めました。手描きのポスターをスーパーの掲示板に貼ってもらうなど宣伝方法も子どもが工夫し、地域のラジオ番組にも出演してイベントを周知したそうです。
一方、スタッフはボランティアの協力を得て音楽会や手芸教室などの催しを企画。市内の公共施設で開催した「げんKIDSまつり」は350人以上が来場する大イベントとなり、地域の多くの人に子どもたちの活動の成果を観てもらえる場となりました。
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(「げんKIDSまつり」では、カフェ・小物屋さんの他、1回10円で輪投げやヨーヨーが楽しめる「縁日」を子どもたちが運営。)

規模を縮小し、内容を深めた後期の活動
参加した子どもからは「楽しかった」「またやりたい」という声が多く聞かれたものの、「準備に追われ、子どもにとっての楽しさよりイベントの成功を優先させてしまったのではという反省があった」と、首藤さん。そこで後期の活動は「規模は小さくし、内容を深めよう」と、拠点の「キッズルーム」内で学童保育の利用者のみ招待して行うことに。内容は子どもが話し合って「カフェを無理なくできる範囲で開こう」と決めました。
「カフェについてもっと知りたいという子どももいたので、町の喫茶店を見学してサービスの仕方を学んだり、地域のパティシエを招いてお菓子の作り方を教わったりもしました。また前期に子どもが出した企画で実現できなかった『影絵制作』にも取り組んだんです。これは子どもが物語を作り、色画用紙を切り抜いてつくったオリジナル作品で、大人も感動するくらい素晴らしいものになりました」(首藤さん)。

活動を通じて子供が持ち前の力を発揮
「げんKIDS」の活動の締めくくりとして、12月には「おたのしみ会」を開催。スタッフが一人ひとりの子どもに表彰状を渡し、「〇〇ちゃんは工作がとても上手。何にでも一生懸命取り組んでくれたね」などの言葉を。子どもたちは「カフェの看板づくりが楽しかった」「ラジオでお話ができて嬉しかった」など順番に感想を述べた後、皆でゲームを楽しみました。子どもたちの歓声にスタッフの声がかき消されることもしばしば。「いつもこんな感じです。子どもたちはスタッフと名前で呼び合うような対等な関係。だからこそ遠慮なく自分の意見を言える」と、首藤さん。
1年間の活動の成果については「子どもたちがそれぞれ得意なことを発揮し、発表会をやり遂げたことで自信がついたと思います。また年長の子どもがリーダーシップを発揮したり、友達づきあいが苦手だった子どもが自分から『一緒に遊ぼう』と言えるようになったり、どの子どもも見違えるほど成長しました」。
将来的にはドイツ「ミニ・ミュンヘン」をモデルとする「こどものまち」(注1)の開催を目指しており、助成期間中に県内外の先進例の視察も行いました。「特にキャンパス内で『こどものまち』を実施する田園調布学園大学(神奈川県)では運営のノウハウを教えていただき、とても参考になった。時間はかかるでしょうが、郡山市でもぜひ実現させたい」と、首藤さんは笑顔で話してくれました。
(注1)子どもが主体となって仮想都市をつくり、社会の仕組みや職業について学ぶ取り組み。
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(12月の「おたのしみ会」では、「イラストが上手で賞」「たのもしいで賞」など、子どもの長所や頑張った点を褒めて全員を表彰。)

【団体概要】--------------------------------------------------------
設立年:2003年  
代表者名:首藤 亜希子  スタッフ数 25名
事業内容(本助成事業以外):
・学童保育「キッズルーム」
・個人や団体の依頼による託児
・親子向けのイベント開催などの子育て支援事業
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■助成団体の活動意義
同団体は郡山市内で10年間にわたり学童保育の運営や託児、子育てイベントの実施といった子育て支援を行ってきました。
子どもが中心となって企画から準備・実施までを行う「げんKIDS」の取り組みは、学年が異なる子ども同士のコミュニケーションの増進や子どもが主体的に活動できる有意義な時間につながると評価され、今回の助成が決まりました。

■助成金の使途
助成により学童利用児童の送迎用車両の購入と送迎スタッフの雇用ができました。また「げんKIDS」のチラシ作製など、広報にも助成金が活用されました。他にもスタッフの研修や視察、チーム力を高めるためのワークショップ開催のために助成金が活用され、団体の基盤強化にも注力することができました。

■助成前・後での変化
団体初の試みである「げんKIDS」を実施できたことで、子どもたちにさまざまな活動や体験の場を提供することができました。「げんKIDS」の活動により、団体の学童保育は「子どもが預けられる場」から「自分がやりたいことができる場」へと変化しています。参加した子どもにも、興味のあることやどのような段取りで実施するかの意見を臆することなく言えるようになり、意見が仲間やスタッフに受け入れられることを体験するにつれ、たくさんのアイデアが出せるようになるなどの変化が生まれています。また送迎専用車両と送迎スタッフの確保により、子どもたちの送迎がよりスムーズに、安全に行えるようになりました。